大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和42(あ)443 判決

主 文

原判決中「当審における未決勾留日数中九〇日を原判決の本刑に算入す

る。」との部分を破棄する。

その余の部分に対する本件上告を棄却する。

理 由

東京高等検察庁検事長井本臺吉の上告趣意について。

記録によれば、被告人は本件につき昭和四一年九月二二日横浜家庭裁判所におい

て懲役一年八月の言渡を受け、同年一〇月五日控訴の申立をし、昭和四二年一月二

七日原裁判所において、「本件控訴を棄却する。当審における未決勾留日数中九〇

日を原判決の本刑に算入する。」との言渡を受けたものであること、および、被告

人は本件児童福祉法違反の公訴事実については、捜査の段階である昭和四一年四月

二六日勾留状の執行を受けたが五月一一日には釈放され、その後本件と併合審理等

の関係のない別件によつて勾留された関係もあつて、本件については不拘束のまま

同月二〇日公訴を提起され、その後原判決言渡に至るまで勾留されたことのないこ

と、すなわち被告人の原審における未決勾留日数がまつたく存在しなかつたことが

認められる。

ところで、右のように現実に存在しない未決勾留日数を本刑に算入することが違

法であることは、論旨引用の当裁判所の判例(昭和三八年(あ)第二九六五号、同

四一年一月一八日第三小法廷判決、裁判集一五八号一頁)の示すところであるから、

原判決が、原審における未決勾留日数中九〇日を第一審判決の本刑に算入する旨言

い渡したことは、刑法二一条の適用につき右判例に相反する判断をしたものといわ

なければならない。論旨は理由があり、原判決中右の部分は、刑訴法四〇五条二号、

四一〇条一項本文により破棄を免れない。

よつて、同四一三条但書により、原判決中「当審における未決勾留日数中九〇日

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を原判決の本刑に算入する。」との部分を破棄し、原判決のその余の部分に対する

検察官の上告は、上告趣意として何らの主張がなく、したがつてその理由がないこ

とに帰するから、刑訴法四一四条、三九六条によりこれを棄却することとし、当審

における訴訟費用は、同一八一条一項但書により被告人に負担させないことにし、

裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

検察官 神谷尚男出席

昭和四二年四月一四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 田 中 二 郎

裁判官 柏 原 語 六

裁判官 下 村 三 郎

裁判官 松 本 正 雄

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